パフォーマンスを上げるフィードバックはわずか26%? 改善には「量と質」がともに重要【データと事例】
フィードバック・評価
2020. 10. 05

パフォーマンスを上げるフィードバックはわずか26%? 改善には「量と質」がともに重要【データと事例】

組織のパフォーマンスを向上させるために欠かせないのが「フィードバック」です。しかし、こまめなフィードバックはどうしても面倒くさい、手間だと思いがちではないでしょうか?

中には「フィードバックで本当にパフォーマンスって上がるの?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。

ですが、フィードバックを改善しないことによる機会損失は非常に大きなものです。

フィードバックは本当にパフォーマンスを上げるのか?

マネージャーやマネジメントに関する数多くの調査結果で知られるGallup社が発表したデータによると、上司から定期的にフィードバックを受ける従業員は、そうでない人と比較し3倍以上エンゲージメントが高く、離職率は14.9%も低いということがわかっています。

また心理学の研究においても、約24,000回の検証を経て、フィードバックによる介入はパフォーマンスを総じて上昇させるという結果が1996年に発表されています。

このように「定期的な」フィードバックはパフォーマンスの向上につながることがわかっています。実際、多くの先進的な企業では年次の評価をなくし、継続的に頻度高くフィードバックをする評価制度へと移行しています。

▼参考記事
Employees  Want a Lot More From Their Managers
The Secret of Higher Performance
The effects of feedback interventions on performance (Kluger & DeNisi)

フィードバックの「頻度」を増やした先進企業の事例

①Accenture 

  • ・2015年に年次の評価とランク付けを廃止。代わりに、従業員に対してアサインメントごとに即座に、継続的にフィードバックを実施するより柔軟な仕組みを採用。 

  • ・CEO(当時)であるPierre Nanterme氏は、従来の官僚的なパフォーマンスレビューは従業員の成長を阻害しており、パフォーマンスは常時生み出されるものである以上、フィードバックとはより日常的なものであるべきだと語った。

②General Electric

  • ・2016年に40年間続いた旧来の人事評価を、「Fastwork」と呼ばれる新しい人事評価へと進化。

  • ・新制度では、年次の評価ではなくマネージャーとメンバーの「タッチポイント(コミュニケーションの接点)」を増やすことをゴールに。Performance Development(PD@GE)と呼ばれるアプリを使用して、日常的にマネージャーから部下へのフィードバックを送ることを可能にした。

③Deloitte

  • ・2015年に、年次のパフォーマンスレビューや360度評価、トップダウンの目標設定といった旧来の人事評価制度を廃止

  • ・新しい制度では、上司部下で週次の「チェックイン」を義務付けし、コミュニケーションとフィードバックの頻度を高めた。


▼参考記事
Accenture dumped performance reviews, here is why


▼より詳しい事例はこちらのホワイトペーパー(無料)に掲載されています▼

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「頻度」だけではなく「質」も高める必要がある

また重要なのは、フィードバックの回数だけではなく、その質です。例えば2018年にリサーチ会社のGatner社が発表したデータによるとフィードバックの質は従業員の生産性に大きく関係しています。具体的には、

・未来志向のフィードバックを実践している組織では、従業員の生産性が13%高い
  • ・継続的なフィードバックを実践している組織では、12%高い
  • ・(360度評価のような)相互フィードバックを実践している組織では、14%高い

しかし一方では、前述したGallup社の調査によると、「成長につながるフィードバックを受けられている」と回答した従業員はわずか26%にとどまっています。

実際、パフォーマンスを高めるための効果的なフィードバックを行うためには、どうすればよいのでしょうか。 

 

▼参考記事
5 Employee Feedback Stats That You Need to See

Motivate Employees With Ongoing, Forward-Looking Feedback

フィードバックの「質が高い」ってどういうこと?

フィードバックをパフォーマンス向上につなげるためには、下記の要素が必要だとされています。

①個人のゴールを明確にすること

フィードバックを伝える際には、チームや組織内における相手の役割とゴールを明確にしましょう。その人に期待していることと、ゴールに対する現在地を明確にすることで、次の打ち手がはっきりとわかり、パフォーマンスの向上につながります。

また、フィードバックの際には個人の強みや弱みをより自覚するための手助けをすると良いでしょう。フィードバックにより自身の強みを自覚できている従業員は、そうでない従業員に比べて約110%の利益を企業にもたらしていることも明らかになっています。

②具体的に伝えること

フィードバックでは、良い点・改善点をともに具体的に伝える必要があります。次アクションが見えることで、フィードバックを結果にしっかりと結びつけることができるからです。

例えば、以下のようなフィードバックはNGです。

<NG:抽象的なフィードバック>
「もっと効率的に仕事を終わらせてください」

「もっと効率的」という言葉は抽象的なので、例えば、以下のように具体的にすると良いでしょう。

<GOOD:具体的なフィードバック>
「リサーチ業務に時間がかかっているので、現状の半分くらいの時間で終わらせましょう。その分の時間を情報をまとめる作業に充てて、追加のリサーチがもし必要なら、その都度行った方が効率が良いと思います。」

③リアルタイムに伝えること

フィードバックは、直ちに伝える必要があります。

何ヶ月間も前の事象に対してフィードバックを送ったとしても、アクションを起こした際に生じた「感情」や「周囲への影響」が忘れ去られてしまっているため、意味がなくなってしまいます。また、過去のことを掘り返しているような印象を与え、相手に不快な思いをさせる可能性も高いです。

何かアクションを起こした直後にフィードバックを送ることで、しっかりと受け手に伝わり、行動に変化が現れます。

▼参考記事
9 Ways to Give Effective Employee Feedback
5 Steps for Giving Productive Feedback
Does Feedback Really Improve Performance?

上記のような要素を兼ね備えたフィードバックを行うためには、フィードバック/フィードフォワードを使い分ける、コーチングスキルを身につける、事実情報を用いる、といったテクニックも必要です。詳しくは、下記の「フィードバックパーフェクトガイド」をぜひご参照ください。

▼フィードバックのフレームワークやテクニックを紹介しています▼

FEEDBACKパーフェクトガイドブック

量と質を兼ね備えたフィードバックを実践するには…

当ブログではこれまでも、フィードバックを改善するためのヒントを掲載してきました。

▶フィードバックの意味とは? ビジネスでの使い方・フレームワーク・企業事例を徹底解説
▶【実例アリ】新入社員を凡庸にするアドバイス vs 尖ったエースに変えるフィードバック▶ランク付けしない評価制度「ノーレイティング」とは?【事例3選】を用いてポイントを解説!

上記の記事で掲載しているように、フィードバックに関するスキルを身につけることも重要ですが、同時に会社としては従業員がよりフィードバックを送りやすく、かつ運用負荷の低い仕組みを整備する必要があります。

マネジメントツール「Wistant」では、定期的なパフォーマンス評価や360度フィードバックなど、フィードバックのフォーマットを自由に作成し、簡単に運用することができます。

▼Wistantのフィードバック作成画面▼

新フィードバック①

▼提出状況もダッシュボードで確認できます▼

新フィードバック⑥

2020年9月にリニューアルしたWistantのフィードバック機能の詳細は、こちらのブログをご覧くださいませ。

良質なフィードバックを通じて、従業員1人ひとりのパフォーマンスを向上させていきましょう。

マネジメントの課題をデータで見る - Wistant

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