組織変革の「時」に迫る、ドキュメンタリー形式のイベント「THE TRANSITION」。
8月25日(火)にお届けした第2回ではPeople Treees社の東野さん、アカツキ社の菅さんをゲストにお迎えし、「組織変革におけるHRBP」についてお話いただきました。
講演中には、多くの方からチャット欄にてご質問を頂戴しましたが、時間内に全てお答えすることができなかったため、こちらのブログにて回答させていただきます!
※質問文は、一部を読みやすく編集させていただいております。
【目次】
Q:HRBPになるために身につけるべきスキルはどのようなものがありますか?
「御用聞き」からコンサルタント、時にはビジネスパートナーなど、日々の業務の中で様々な視点を持つ事が必要となるため、「このような道を歩めばHRBPとして活躍できます」とは一概にいえません。
そうした中、まずできることは、「現場」を把握し、経営者や人事、各事業部のマネージャーが困っていることを積極的に拾いにいくことです。
しかし、それだけでは戦略に紐づけるスキルを身につけられないので、経営や事業に関する情報を収集し、「社長並み」の視点を持つことも必要でしょう。
また、HRBPは必ずしも人事から経験する必要もないとされています。従業員1人ひとりの個性や、部署ごとの課題を把握した上で解決する能力が求められるので、事業活動において優秀な人材を抜擢する企業もあります。
最後に、HRBPとして求められる8つのスキルをご紹介いたします。HRBPになるために意識すべきこととして、こちらも是非参考にしてください。
1.人事の役割や、活動を深く理解する能力
2.人事の役割と、企業戦略・新たな挑戦を結びつける能力
3.ダッシュボードを活用し、データを分析する能力
4.事業に対しての正しい理解と、優先事項を見分ける能力
5.ステークホルダーをマネジメントする能力
6.優れたコミュニケーション・プレゼンテーション能力
7.意見が対立する人物に対して、建設的に対処できる能力
8.戦略的に物事を進められる能力
Q:テレワークが進む時代における従業員とのコミュニケーション方法について教えてください
今後、テレワークをはじめとした多様な働き方が許容されるようになると、メンバーそれぞれに対する「力の引き出し方」が変わってきます。
必ずしも「出社」するとは限らない状況の中で組織の「理想的なあり方」を模索していく必要がある現代は、人事にとっては面白いフェーズといえるのではないでしょうか。
従業員の顔を直接見ることができれば、顔色を見て声かけたり、一緒にランチをしたり、といったことができますが、テレワークでは相手の変化に気づく機会が圧倒的に少なくなります。
しかし、ビデオ通話を通じても相手の表情の「影」に気づくことは可能であり、早めに気づいてあげられるようこちらから意図的にコミュニケーションをとる時間をつくることが大切です。
テレワークでもコミュニケーションに求められる本質は変わりませんが、テレワークだからこそできるひと工夫を今回は4つご紹介いたします。
・毎日「チェックイン」の時間を確保する
・様々な異なるツールを用いて、コミュニケーションを行う
・1対1の会話ではなく、複数人でコミュニケーションが取れるような機会を設ける
・必要としているメンバーに対しては、メンタルサポートを行う
参考記事:A Guide to Managing Your (Newly) Remote Workers- Harvard Business Review
Q:HRBPを導入したほうがいい!と思われる企業はどんな企業でしょうか?
HRBP立ち上げのタイミングは企業や目的によって様々ですが、HRBPは「経営と人事をつなぐ」役割なので、社長から組織の全体像が見える小規模な会社であればHRBPは必要ないでしょう。
しかし、従業員が何百人といった規模に増えてくると、やはり社長とメンバーの間に距離が生じて組織全体をみることが難しくなってきます。そうしたフェーズに入れば、HRBPのような役割の真価が発揮されるはずです。
また、立ち上げのタイミングとしては「事業が多角化してきたタイミング」が一つの例として挙げられます。
ディー・エヌ・エー社でも、事業が多角化し、社員数も1,000名を超え、同社が大切にしてきた組織文化をフォローする必要が出てきたタイミングにHRBPを立ち上げたといいます。
▼参考記事
HRBPは「事業に資する」人事。人事戦略から採用、評価まで、DeNAの戦略人事の動き方
Q:HRBPの具体的な導入事例があったら教えていただきたいです。
過去にSELECKで取材させていただいた3社の事例をご紹介させていただきます。
1.株式会社ディー・エヌ・エー
株式会社ディー・エヌ・エーでは、2014年からHRBP制を導入し、「事業に資する人事をやる」というミッションのもと、それぞれの事業部が抱える課題の解決に取り組んでいるといいます。
HRBPを導入後、現場を巻き込んだリファラル採用によって半年で20名以上を採用する、組織内のマネージャー数を倍以上にする登用によって離職率を半減させる、といった成果を上げました。
HRBPの存在意義として、重要なのは経営と人事をつなぐ・事業と人事をつなぐ、ということだと思っています。なので、実際の肩書はHRBPではなく、人事部長でもCHROでも何でも良くて。
(中略)
なので肩書は何でも良いですが、心持ちとして、単に「会社の人事機能を担う」のではなく、人事の視点から経営を見て、経営と人事をつなぐ。社長が今まで1人でやってきたことを、組織的にやっていく、ということが大切だと思っています。
2.GEヘルスケアジャパン株式会社
GEヘルスケア・ジャパンでは、2016年より「HRBPモデル」を導入し、HRチームの組織体制を一新させました。事業部ごとにHRBPを置き、グローバルな市場で勝ち続けるための人材戦略を推進しているといいます。
でも、もともと旧来型の人事というのはオペレーションに強い役割です。いわゆる「守りの人事」なのですが、HRBPは「攻めの人事」なので、全く別のスキルなんですね。
ずっと会社が存続するために守ってきた人たちに、「明日から攻めてください」というのはとても難しいじゃないですか。
ですので最も大切なのは、経営者がHRBPの重要性、そして人事戦略の重要性を理解することです。
3.カゴメ株式会社
日本を代表する食品・飲料メーカーであるカゴメ株式会社でもHRBPを導入しています。
常務執行役員CHOである有沢 正人さんは、役員も含めた全員の目標のオープン化、評価と昇給・昇格の切り離しなどを行い、人事から組織を変革してきたそうです。
HRBPの役割としては、基本的に現場に行って、面談などを通じて1人ひとりのキャリアに向き合う。本人にキャリアの希望を聞いたり、介護やお子さんの病気といった個人の事情まで含めてしっかり話します。
こうした立場なので、現場の人が「この人だったら信用できる」と思えるような、現場の経験者に入ってもらっています。例えば営業担当のHRBPは、支店長の経験者が務めています。
人事の重要なミッションのひとつに、自律的にキャリアを考えるカルチャーを醸成することがあると思います。制度や仕組みを作ることが、人事の目的ではないんですね。
では制度や仕組みを何のために作るのか、極端に言うと、従業員にハッピーに働いてもらうためです。そのためには何をしたらいいのかは、やはり現場に行かないとわかりません。
いかがでしたでしょうか。
この度、弊社主催のイベントにご参加いただいた皆さま、改めてありがとうございました。
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