組織変革の「時」に迫る、ドキュメンタリー形式のイベント「THE TRANSITION」。
8月11日(火)にお届けしたシーズン2の第2回ではヤプリ社の高橋さん、ミラティブ社の鈴木さんをゲストにお迎えし、「組織変革におけるOKR」についてお話いただきました。
講演中には、多くの方からチャット欄にてご質問を頂戴しましたが、時間内に全てお答えすることができなかったため、こちらのブログにて回答させていただきます!
※質問文は、一部を読みやすく編集させていただいております。
【目次】
Q:OKRが合う会社・合わない会社の特徴は、どのようなものがありますか?
組織文化や、フェーズ、事業モデルなどが会社によって異なるので一概にOKRが合う会社、合わない会社を定義することは難しいですが、例えば、リソースが限られているスタートアップはOKRが向いていると言われることが多いです。
反対に、チャレンジ目標を作る必要がない会社や、目標を全社に公開していない会社、目標のアライメントが必要ない会社は合わないかもしれません。
OKRやMBOなどのフレームワークから考えるのではなく、自社の事業モデルに合わせて、組織のパフォーマンスをあげるためには、それぞれのフレームワークの「どの要素」が必要か? を考えるといいと思います。
また、どんなフレームワークにしても、合う・合わないの相性と「それが根付くかどうか」は別で考えた方が良いでしょう。
OKRは「ムーンショット」と呼ばれる高い目標を掲げるので、表層的なOKRを導入してしまっては、十分な達成感を得られずに、逆に組織のモチベーション低下にもなりかねません。
よって、OKRを導入する前に、「それを受け入れる企業文化があるかどうか」を見極めることが重要です。
・中央集権的でなく、権限の分散が進んでいる
・あらゆる情報をオープンにし、誰でもアクセス可能な透明性を持つ
・常に高い目標を目指し、更なる成長を求める志向性がある
といった特徴を持つ企業は、OKRを根付かせやすいかもしれません。自社のフェーズや、カルチャー、目的に合わせて様々なフレームワークを検討してみることをおすすめします。
Q:OKRを達成することは悪いことなのでしょうか?
そこで、OKRを達成した場合はまず振り返りを行い、なぜ達成できたのか? 目標は低すぎなかったか? を確認することが重要です。
また、「コミットするOKR」と「野心的なOKR」を分けて設定している企業もあります。この両者を明確に区別することが重要で、「コミットするOKR」は、組織として必ず達成できるようにスケジュールをたて、リソースを調整する必要があります。
Q:なぜ「野心的な目標」を立てる必要があるのですか?
1968年に「目標設定理論」を提唱したエドウィン・ロックによれば、
・多くの努力や困難、時間的制約のある目標の方が、楽な目標よりもパフォーマンスを高める
・具体性のある困難な目標の方が、曖昧な文言の目標よりもアウトプットの水準が高くなる
とされています。
つまり、達成水準100%の目標を達成するよりも、150%の目標を目指して70%の未達に終わった方が、結果としては高い地点へと到達することができるのです。
OKRは、優先事項にフォーカスし、高い目標に最速で到達するためのツールだといえるでしょう。
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Q:個人OKRへの振り返りを通して、成長支援をする際のポイントを教えてください
OKRは個人の目標達成率が評価に影響を及ぼすものではないため、メンターはメンティのやりがいや成長意欲などを刺激するマネジメントを行うことが必要です。
そこで、参考になるフレームワークが「CFR」です。
「CFR」とは、「Conversation(対話)」、「Feedback(フィードバック)」、「Recognition(承認)」の3つの頭文字をとったものです。
1.対話
まず、「対話」はパフォーマンスの向上を目的に行われる会話のことを指します。
VUCAワールドと呼ばれる不確実性の高い世の中では、メンバーの内発性を向上させ、自ら成長できるようにサポートすることが、組織のパフォーマンス向上にも大きく貢献します。
よって、できるだけ高頻度で対話を行い、メンバーが自身のアイデアや行動を内省できるよう促すと良いでしょう。
以下、対話の際に参考になる質問項目をいくつかご紹介いたします。
・OKRの進捗具合はどうですか?
・OKRを達成するために必要なスキルはなんですか?
・OKRの達成を妨げている要因はありますか?
・優先順位を考慮すると、OKRで修正すべきものはありますか?
2.フィードバック
「フィードバック」は、ただKRの進捗に関して意見するものではありません。ネガティブなものからポジティブなもの、さらにメンバーのキャリア開発に役立つアドバイスなど、送るメッセージは多岐に渡ります。
この際、個人のOがその人にとって挑戦的なのか? 達成することが中長期的なメンバーのキャリアに繋がるものかどうか? に焦点をあてながらフィードバックを行うことが大切です。もし、メンバーがそうでないと感じていそうな場合は、OKRの軌道修正を促すことも求められます。
また、フィードバックは同僚同士で送り合う「ピアフィードバック」や、「360度フィードバック」など、主体を限定せずに様々な視点から意見をもらうと良いでしょう。部門を超えたコミュニケーションの活性化にも繋がるので、全社横断的にフィードバックを送り合う機会を設けるのがおすすめです。
▼フィードバックについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
フィードバックの意味とは? ビジネスでの使い方・フレームワーク・企業事例を徹底解説
3.承認
そして最後の「承認」は、OKRを達成するプロセスにおいて大小関係なく、メンバーの行動を賞賛し、エンゲージメントを高めるものです。心理的安全性の担保にもつながり、より生産性の高い組織を目指すための一歩にもなります。
OKRではメンバーが目指す方向が一致しているため、承認すべきことも明確になっています。そのため、「ピアボーナス」のようなシステムを導入し、メンバー同士で日々感謝の言葉を伝え合えるようにするのも良いでしょう。
2013年に創業し、国内最大規模のフリマアプリ「メルカリ」を提供する株式会社メルカリでも、2017年より「ピアボーナス」の運用を開始したといいます。
その背景には、急拡大する組織の中でよりリアルタイムにお互いを「賞賛」できる仕組みづくりの必要性を感じていたそう。「mertip(メルチップ)」の愛称で社内に浸透している同制度は、導入後のアンケートで社員のおよそ9割が、5段階評価で満足度4以上という高評価を得ているといいます。
弊社では、「OKRによる目標達成度合い」と「バリューに沿った行動」の2軸で、四半期ごとに評価を実施しています。
(中略)
特に、「バリューに沿った行動をしているか」という後者の評価が難しかったんですね。
この点、mertipの仕組みでは、リアルタイムな360度からのフィードバックが、個人のタイムライン上に蓄積されていきます。
そのため、評価時期にそれを纏めるだけで、個人のバリューに紐付いた行動を可視化することができるんです。
Q:全社的なOKRを管理・記録するのに、おすすめのツールを教えて下さい
人数が少ない組織であれば、スプレッドシートなどでOKRを管理している場合もあります。50名規模の弊社では「Wistant」を利用してOKRを運用しています。
個人の管理画面から、会社のOKR、部署ごとのOKR、他のメンバーの目標を確認することができます。また、個人目標がどの全社戦略に紐づいているか? のアライメントも確認することが可能です。
加えて、個人が目標の進捗管理を行うためにも活用できます。グラフによって、目標まであとどれくらいか? が可視化されているので、自身の現在地を一目で確認することができます。
また、こうした目標管理ができるツールは頻度高く利用できる仕様であることが重要です。Wistantは「Slack」や「Teams」などのチャットツールと連携が可能で、通知を設定することもできます。
通知によって1on1の前に目標の更新を促すことができるので、メンティの内省をサポートすることができます。
いかがでしたでしょうか。
この度、弊社主催のイベントにご参加いただいた皆さま、改めてありがとうございました。
弊社では、マネジメントに関する個社別の相談会も実施しております。ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお申し込みくださいませ。
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