【1on1研修】タイプ別メリット・デメリットと選び方を徹底解説
ピープルマネジメント 1on1 研修
2023. 08. 16

【1on1研修】タイプ別メリット・デメリットと選び方を徹底解説

組織のエンゲージメント向上や生産性UP、離職率の低下を目指す企業が「1on1」を続々と導入しており、引き続き注目を集めています。

1on1の導入前後にメンター(聞き手)となるマネージャーや、メンティ(話し手)となるメンバーを対象として研修を実施することで、1on1をより効果的に実施できるようになります。

一方で、1on1研修の種類は「e-ラーニング」「セミナー」「コーチング」など多岐にわたり、どれを選べばよいのか、どれが自社の人材や課題にフィットするのかわからない、とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、1on1を効果的に導入・運用できるよう、研修のタイプ別の特徴と選び方について解説します。ぜひ1on1研修検討の際の参考にしてください。

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<目次>

1on1の目的と必要なスキル
1on1導入で起こる問題
研修タイプ別メリット・デメリット
適切な1on1研修の選び方

1on1に関する情報はこちらの記事も併せてご覧ください。
関連記事:【徹底解説】1on1の目的や導入メリットとは?よくある失敗も確認


1on1の目的と必要なスキル

研修のプログラムによって、何を目的とした研修なのか、誰を対象としているのか、研修後にどのような効果を発揮させるか、などの設計が異なります。
研修後に望ましい変化をもたらすために、以下の内容を参考にしながら、自社での1on1の目的や身につけたいスキルの優先順位などを整理していきましょう。

<1on1の目的>

1on1の目的やゴールは組織やチームにより異なるものです。一般的には以下のポイントに集約されており、目的を達成するために必要な学習や研修が異なります。

◼️メンバーの疑問や悩みの解決

1on1の最も基本的な目的は、部下の疑問や悩みを解消することです。
疑問・不安・悩みを抱えたまま仕事に取り組もうとすると、思わぬミスが発生したり業務効率がダウンする原因になります。

また、悩みを相談したいときに相談相手がいなかったり、上司が多忙で相談しにくいなど「一人で悩みを抱えこむ」ことにより突然の思わぬ離職につながることも。このような「びっくり離職」がきっかけとなりコミュニケーションの活性化に取り組み始める企業も多いのではないでしょうか。

1on1によってメンバーの疑問や悩みが定期的に解消されることで、成果創出までのスピードアップモチベーションの向上が期待できます。
1on1では上司は定期的(強制的)に部下の話に耳を傾ける時間を確保する習慣が身につくことで、対話が生まれコミュニケーションが活性化する効果も。

このような目的の場合、特に上司の基本的な傾聴姿勢や部下の気持ちを尊重する共感スキルが必要となり、上司のスキルによる個人差が生じやすくなります。チームによって1on1への満足度が異なるなどのチーム格差も生じやすくなります。
研修を検討する際には、1on1に対する優先順位の向上を伝える社内研修や、ロープレを通じた傾聴スキルの習得ができることを重視しましょう。

◼️経験学習の促進

1on1という時間は、対話を通じて経験を学びにする「経験学習サイクル」を効果的に回す役割をもっています。

普段忙しく業務を進めている中では、手を止めてゆっくり考えている余裕は生まれづらいものです。(気がつけば1ヶ月あっという間に過ぎている…というあるある状態)
しかし、業務上で経験したことにフォーカスして整理しながら「なぜうまくいったのか?」「なぜうまくいかなかったのか?」を言語化することは、次の経験に活かすヒントを見つけ成長のスピードアップに繋げる絶大な効果があります。

また、1on1という定期的な対話の場で上司部下が一緒に経験を振り返ることで、部下の「得意不得意」「どのような仕事でモチベーションが上がるのか・下がるのか」が徐々に明確になっていきます。
これにより、上司は部下にあった業務配分ができるようになったり、部下が苦手とする業務に対する必要なフォローが行えるなど、組織の業務効率アップにも繋がります

このような目的の場合、特に定期的に1on1を実施できるようなスケジュール管理と、「1on1が経験学習の場である」ルールの認識が必要です。
また、経験を丁寧に振り返るための効果的な「問いかけ」のスキルがあることが望ましく、上司の価値観で聞かず、部下の主張を受け止める器量も求められます。

研修を検討する際にはロープレを通じて実際に問いかけスキルを練習するなど、座学にとどまらずより実践的な訓練が必要です。

◼️上司部下の信頼関係の構築

在宅勤務やダブルワークの普及などで今まで以上に働き方が多様化したことにより、組織の対話の「量」を増やす必要性を感じる方も多いのではないでしょうか。
ワークエンゲージメントの低下や離職の増加の要因として「上司と部下の対話不足」が上がることも多く、対話の不足によってお互いへの理解が深まらず不信感につながってしまうケースが増えています。

1on1は、業務の進行に必要な「確認・指示」のような仕事にフォーカスするコミュニケーションとは異なり、「不安・悩み・思考の整理」のような人にフォーカスして行われるコミュニケーションであることが特徴です。
そのため、上司部下の1on1により普段の業務相談では聞けないような深い対話が行われることで、信頼関係を深める効果があります。
定期的に溜め込んだ不安を上司に相談できる機会を作ることで、上司部下の信頼関係構築につながるだけでなく、1on1に継続的に取り組むことで上司のマネジメントスキル向上にも効果を発揮します。

このような目的の場合、まず定期的な1on1が確実に実行されるよう多様な働き方にフィットさせた「1on1の自社ルール」を工夫しながら、上司の1on1への理解を深める必要があります。
また、部下が安心して話すことができるよう上司の基本的な傾聴姿勢が必要不可欠です。

研修を検討する際には、自社の1on1の目的を理解できる社内研修の実施と、メンターとしての基本的な傾聴スキルを学ぶ基礎知識研修が効果的です。

1on1研修ブログ1

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よい1on1に求められるスキル

効果的な1on1を実施するためには、1on1に関する基礎知識を学習するとともに、下記のような基本の対話スキルを身につける必要があります。
基本的な対話スキルが身についていない場合、1on1の場で部下が安心して対話を続けることが難しくなり、上司部下の信頼関係が築けないだけでなく、1on1自体が形骸化していく要因にもなるため注意が必要です。
ぜひ1on1導入初期の段階で、上司が以下のような1on1の基本スキルを身につけられるようにフォローしていきましょう。

◼️傾聴(共感)

傾聴は、相手の話を真摯に受け止め、共感する能力を指します。1on1の場において、部下の話をなるべく中断せず相手の意見を尊重しながら、自らの解釈を押し付けることなく、相手の価値観を受け入れる姿勢が求められます。

また、言葉だけでなく、相手の表情や態度からも情報を読み取る能力も必要です。
例えば、ある話題になると表情が曇る、生き生きとした表情で饒舌に語り出す、などの変化を察知して、部下の価値観やモチベーションの変化を丁寧に読み取ります。
このスキルによって、相手の真意や潜在的な悩みを理解し、適切な助言が可能となるだけでなく、「自分に興味を持ってくれている」と部下に安心感を与え、信頼関係構築に大きく貢献します。

傾聴スキルは具体的には、ミラーリング(相手の動作を真似る)、ペーシング(相手のペースにあわわせる)、オウム返し(相手の言葉をそのまま用いる)など、さまざまな技法によって学ぶことができます。
このような傾聴の基本スキルは座学での研修やロールプレイでの体験学習で身につけながら、実践で繰り返し用いて練修することで比較的短期間で習得することが可能です。

◼️問いかけ(質問)

問いかけは、対話を深めることで相手の考えや感情を引き出す能力を指します。
1on1では、単なる事実情報を共有するだけではなく、相手の深い部分を理解するために、具体的にどのような出来事だったのかを理解する質問や、その時何を感じたのかなどの感情についての質問を積み重ねていきます。
より深い情報を聞き出すことで、上司が部下の価値観を正確に理解できるようになり、信頼関係構築や部下の成長促進につながります。

特に、オープン質問(YES /NOでは回答できない、自由な回答を促す質問)を活用することで、相手が自らの思考や感情を自由に表現する場を提供することができます。

(例)
物事を正確に理解するための質問→「そのことについて具体的に教えてくれますか?」
感情を深ぼる質問→「そのとき、どのような気持ちになりましたか?」
気づきを与える質問→「現在と過去を比べると、どのような変化がありましたか?」

問いかけのスキルは傾聴スキルほ比べると高度なスキルであり、質問のレパートリーを増やすことと、相手の特性や対話の状況に併せて的確な質問を投げかけるなど、状況把握能力が必要です。
問いかけのスキルを身につけるためには、実践的な1on1の経験を積むことと、ロープレでの体験学習、経験者からの手本やレクチャーなどの体験学習が必要です。

組織の1on1の効果が飛躍的に向上するスキルでもあるため、中長期の取り組みとしてぜひ学習の機会を用意していきましょう。

◼️フィードバック(アドバイス)

フィードバックは、相手の行動や業績に対し、具体的かつ建設的な意見を提供する能力を指します。1on1では部下の価値観を尊重して耳を傾けることが基本ですが、時に「上司からはどう見えているか」「上司として何に気づいて欲しいか」などの情報を言語化して伝えることも必要です。

よくある1on1のお悩みとして「部下のお膳立てをする1on1になってしまう」「部下に対して言いたいことがあるが、1on1で伝えてもいいのか迷う」という声があります。
1on1では傾聴に徹することも重要ですが、上司の視点も効果的に伝えることで双方向のコミュニケーションにしていくことを意識してみてください。
1on1の場を「耳を傾ける」だけでなく「お互いの価値観を尊重して対話する」場として機能し始めると、上司部下の関係性はさらに深まっていきます。

フィードバックのスキルはさらに高度なスキルであるとともに、上司部下の関係性がある程度構築されていることを前提として用いるスキルです。
上司が自分の感情をコントロールするスキルや、言葉を選んで伝えるスキル、適切なタイミングを選んで伝える状況把握能力が必要です。
また、伝えたあとに部下がどのような反応をして、どのような変化が起こるのかを見立てる、予測能力も必要です。

ますは傾聴スキルや問いかけのスキルを身につけたあと、ロープレや勉強会などを通じて発展的に学習していく必要があります。

1on1研修ブログ2

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1on1導入で起こる問題

・1on1の目的についての共通理解が得られていない

・上司が中心となり、部下のニーズを十分に考慮していない1on1実施

・「効果的な1on1」の具体的な進め方が不明確

1on1導入に際して起こるこれらの課題は、1on1に関する十分な知識や経験の不足から生じることが一般的です。

1on1は、「知識として理解する」と「実践上で効果的に行う」の間に大きなギャップが存在することが特徴的です。例えば、営業やプレゼンテーションと同様に、単に書籍やセミナーで学ぶだけでは、十分なスキルの習得は難しいです。実際の実践とその結果からの反省を経ることで、真のスキルを習得することができます。

そのため、1on1の導入を検討する組織には以下のステップが推奨されます。

  1. 社内研修:1on1の基本的な知識と方法を学ぶ。
  2. 1on1の実施:獲得した知識をもとに実際に1on1を実施する。
  3. 定期的な振り返り:1on1を定期的に評価し、その結果からのフィードバックを受け取る。

ここで特筆すべきは、定期的な振り返りによる適切なフィードバックの有無です。フィードバックがなければ、1on1の意義が希薄となり、形だけの実施となってしまうリスクがあります。

適切なフィードバックを通じて、1on1の質を向上させることで、組織全体の成長を促進することが期待できます。

研修タイプ別メリット・デメリット

1on1導入に向けて必要になる1on1研修にはいくつかのタイプがあり、それぞれメリットや研修で得られるものが異なります。

ここでは代表的な形式の研修それぞれの特徴を解説します。

◼️e-ラーニング型研修

この研修はオンライン学習を主としています。

メリット:好きなタイミングで学べる点や、デジタル教材を何度でも利用できることが知識の定着に役立ちます。

デメリット:参加者自身での学習管理が必須で、進捗が止まることがあります。他の参加者や講師との直接のやりとりが少なく、疑問をすぐに解決できないことも。また、実践の機会が少ないため、スキルの確実な獲得が難しい場合があります。

既に組織内で1on1の習慣があり、更なる知識を増やしたいときに最適な研修形式です。

◼️セミナー型研修

この研修は講師による直接の指導を主体とした形式です。

メリット:講師からのフィードバックや質疑応答が可能で、理解を深めることができます。他の受講者との意見交換を通じて、新しい視点を得ることも。

デメリット:一時的な学習にとどまり、実践が伴わないことでスキルの定着が難しくなる可能性があります。また、多くの参加者がいるため、個別の相談が行いづらい場合があります。

◼️伴走型・コーチング型研修

この研修方式では、専門のコーチが参加者の1on1スキルを向上させるために個別にサポートします。

メリット:コーチの直接のマンツーマン指導により、参加者は「質の高い1on1」を体験し、より深く理解を深めることができます。この研修の特長は、単に知識を学ぶのではなく、実際の体験と実践を通じてスキルを身につける点です。

デメリット:この方法には欠点もあり、特にスケジューリングやコスト面での課題は比較検討の際に注意が必要です。

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適切な1on1研修の選び方

まず、研修は大きく2つに分けられます。短期的なものと、中長期で継続するものです。

短期研修は即時の効果が期待できる一方、中長期研修は組織内での浸透や継続的なスキル定着に向いています。さらに、研修は既成のプログラムを使用するか、受講者の要望に合わせてカスタマイズするかでも分けられます。

カスタマイズ研修は効果が高いものの、コストも高くなりがちです。対照的に、既成のプログラムはコストを抑えられますが、画一的な内容になります。

上記に加えて、以下の視点も考慮するとよいでしょう。

◼️1on1の理解度・経験値

適切な研修のタイプを選択する際、1on1の理解度や経験を考慮することは重要です。

理解度や経験が豊富なマネージャーは、e-ラーニングやセミナーで新しい知識を吸収することができます。しかし、初心者のマネージャーは、知識だけでは1on1の実践・改善が難しいでしょう。

この場合、マネージャーには伴走型・コーチング型での継続的な1on1のサポートや指導が必要です。

◼️研修の実施目的

研修を選ぶ際には、その目的を明確にすることが不可欠です。

基礎知識の習得や意識の統一が目的なら、e-ラーニング型やセミナー型は適しています。

一方、1on1がまだ組織に浸透していない、またはマネージャーのスキルアップが目的の場合、「伴走型・コーチング型」はよい選択です。

知識は十分あるのに1on1が定着・浸透していないような場合には、e-ラーニング型やセミナー型から「伴走型・コーチング型」へステップアップすることも選択肢となります。

1on1研修にかかる費用

研修導入の検討にあたっては、予算や費用も大きな要因となります。

e-ラーニング型研修:基本的な知識を書籍や動画で学ぶ形式で、一人当たり数百円から数千円程度で参加可能です。

セミナー型研修:実際に講師が指導する形式で、参加者一人当たりの費用は数万円から10万円程度となることが多いです。1日で完結するものが一般的です。

伴走・コーチング型研修:コーチとの連携を中心とした研修で、費用は月額制や一定期間のパッケージ料金など、様々な形式が考えられます。

まとめ

1on1研修は、その内容や目的に応じて複数のタイプに分けられます。

研修の選択時には、「知識の獲得」を重視するのか、「実践的な経験」が求められるのか、組織やメンバーの状況を考慮し適切な研修を選ぶことが大切です。

実際、1on1の取り組みは組織のエンゲージメントや生産性の向上に寄与します。例として、半年の1on1実施によってエンゲージメントが大きく向上した事例も存在します。

効果的な1on1の導入や定着を検討する際、必要に応じて適切な研修を活用してみましょう。

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