目標の設定・管理は仕事での成果に直結します。
今回は、目標の設定・管理に役立つフレームワーク&メソッドを、事例と合わせてご紹介します。
まず最初に、目標を理解するためには、目的と目標の違いを理解する必要があります。
目的は「最終的に成し遂げたい内容」です。一方で、目標は「目的を達成するための、具体的なステップや指標」を意味します。
(※参考記事:Difference Between Goals and Objectives)
営業を例にすると以下のようになります。
目的(成し遂げたい内容):受注金額をあげたい
目標(具体的なステップや指標):週の訪問回数50件
以上の例からもわかるように、目的は抽象的な内容を指すのに対し、目標は数値や期間を含んだ具体的なステップを指します。
そのため、目的なしでは目標を定めることはできません。目的を定める事で、初めて目標を設定することができます。
目標の設定・管理が必要な理由はいくつかあります。
目標を設定することで、目的達成にどれ程近づいているのかを確認することができます。
アメリカのビジネス紙FAST COMPANYによると、目標の進捗状況を追えないことにより、多くの戦略会議が無駄になっているとされています。
(※参考記事:Why are Goals and Objectives Important?)
実際、Harvard Business Review Pressによって出版されたThe Balanced Scorecardによると、目標の設定・管理ができていないことによって、90%の企業が戦略を成功へ導いていないことが明らかになっています。
(※参考記事:90 Percent of Companies Fail to do This)
目標を設定・管理することで、目的達成のためのステップを明確にすることができます。
(※参考記事:5 Reasons Why Goal Setting Will Improve Your Focus)
営業の例で考えると、以下のようになります。
目的:受注金額をあげたい
目標①:週に20件以上訪問する
目標②:毎日新聞を読み、話せる内容を広げる
目標③:訪問する前に、必ず30分は下調べする時間を取る
上記の例では、具体的な数字や期日を設けることにより、自身が取るべき行動を明確化することができています。そうすることで、確実に目的達成に向かい進むことができるでしょう。
また同時に、自分が取るべき行動がわかるため、余計な時間とエネルギーを注ぐ必要がありません。
目標の存在はモチベーションを上昇させ、パフォーマンスを上げます。
1960年代にEdwin Lockeが提唱した、Goal-settig theory of motivationにおいて、目標設定は業務へのモチベーションを高く保ち、パフォーマンスを向上させるために必要不可欠とされています。
(※参考記事:Goal Setting Theory of Motivation)
事実、金銭的なインセンティブがない状態にも関わらず、目標の設定を行ったグループの方が、そうでないグループに比べて、12〜15%パフォーマンスが高い事が研究によって明らかにされています。
目標を設定・管理するにあたり、企業が取り入れることのできるフレームワークがあります。以下の3つのフレームワークを順にご説明します。
MBO:目標と評価が結びついたフレームワーク
OKR:組織の目標と従業員の目標を結びつけるフレームワーク
KPI:プロジェクトや部署の目標を達成するためのフレームワーク
MBO(Management by Objectives)は、日本語では「目標管理制度」と紹介されることが多いです。多くの日本企業で採用されており、最も主流なフレームワークと言えるでしょう。
(※参考記事:グロービス経営大学院MBO(エムビーオー)とは・意味)
MBOは、目標に対する達成度で人事評価を下すフレームワークとして日本で普及しています。
あらかじめ、評価者と被評価者の間で達成すべき目標を設定します。その目標を上回る成果を上げた場合は評価が高くなり、逆に目標を下回った場合は低い評価が下される、というシンプルな仕組みです。
多くの場合、半年に一度ほどのペースで評価面談が行われ、目標の進捗状況の確認や新規目標の設定と共に、人事評価が下されます。
職務と紐づいた目標を設定することにより、常に目標を意識しなが業務へ取り組むことができ、パフォーマンスの向上を見込むことができます。
(※参考記事:Advantages and Disadvantages of Management by objectives)
評価面談の際には、評価者と被評価者との間で目標のすり合わせが行われます。それ故、上司から命じられた目標の達成を目指すだけではなく、自身で設定した目標の達成に向かい工夫しながら業務を遂行することができます。
(※参考記事:Management by Objectives)
MBOには最大のデメリットがあります。それは、現代において求められるマネジメントに適していない点です。
(※参考記事:半年に1度しか会話をしない上司から下される「人事評価」への不満 !? : そろそろ近づく人事評価制度の「曲がり角」!?)
ビジネスにまつわる変化は、以前にも増して加速しています。多くの企業で行われている、半年に一度の目標更新ではその変化に追いつくことができないのが実状です。
また同時に、半期という長い期間の間に設定した目標が忘れ去られてしまいがちであること、評価がたった一度の短い評価面談にて決定してしまうことに対する納得度度の低さなども、デメリットとして挙げられます。
実際、MBOはもともと人事評価の仕組みとしてではなく、部下に対するマネジメントの手法として1960年代にドラッカーにより発案されました。定期的な部下と上司のコミュニケーションを通し、「部下が取り組みたいこと」と「企業の方針」を近づけた目標を設定し、目標を達成し成果を高めていくための仕組みです。
(※参考記事:ドラッカーが考えたMBO(目標管理制度)による人事評価・マネジメントが日本で機能しない理由)
そのため、日本における人事評価として機能しているMBOと、もともとのMBOは根本から目的が異なると言えます。
人材の多様性が増す現代において、半期に一度の評価面談だけで一括りに従業員を管理することは、難しいと言わざるを得ないでしょう。
OKRとは、Objectives and Key Resultsの略称であり、組織の目標達成を目指すフレームワークです。
(※参考記事:What is OKR? A goal-setting framework for thinking big)
GoogleやIntelが導入したことで、多くの注目を集めている新しいフレームワークでもあります。
(詳しくは、記事の最後にGoogleのOKR事例をまとめてあります。)
OKR(Objectives and Key Results)を端的に説明するならば、企業の目標と従業員の目標がしっかりと紐づいたフレームワークと言うことができます。
(※参考記事:What is OKR?)
OKRを設定する際には、達成する目標(Objectives)を定めることから始めます。その後、達成のために必要な要素を成果指標(Key Results)として分解していきます。
実際に企業でOKRを導入する際には、以下のような目標(Objectives)が考えられます。
目標(Objectives)の例
・売り上げ〇〇円を達成する
・年内に新規顧客XX人を獲得する
その後、上記の目標(Objectives)を達成するための要素である成果指標(Key Results)を定めます。下記が例になります。
成果指標(Key Results)の例
・1人当たりの消費金額を〇〇円にする
・セールスチームの新規顧客獲得、月にXX人以上
・店舗の運営コストを△△円下げる
次に、企業のOKRに対して、チーム・従業員のOKRを同様に決定します。
そうすることで、企業が定めた目標(Objectives)が階層的にそれぞれの従業員まで降りていき、企業の目標と従業員の目標がリンクします。
(※参考記事:【保存版】Googleも採用する目標管理「OKR」を徹底解説!導入事例や運用ツールも紹介)
以下の3点が違いとしてあげられるでしょう。
MBOでは半期に一度の評価面談が振り返る機会となっています。それ故、年に1、2回が一般的です。
一方で、OKRはより高頻度での進捗確認や、目標のすり合わせが望まれます。チーム・従業員目標が企業目標と密接に繋がっているため、頻繁にすり合わせを行いズレを防止するためです。
一般的に、四半期に一度OKRを行うことが良いとされています。
(※参考記事:What is the difference between MBO and OKR)
MBOでは、目標の達成度合いが人事評価に直結するため、目標の進捗度合いや達成度はクローズドに扱われることが一般的です。
一方で、OKRはあくまで目標管理のフレームワークであり、評価制度とは根本的に異なります。それ故、オープンな状態である方が自然であると言えます。
MBOでは、100%以上の達成が求められます。何故ならば、目標の達成度が人事評価に直接結びつくからです。それ故、「わざと目標値を低く設定してしまう」といった弊害も存在しています。
対照的に、OKRでは60〜70%の達成度が良いと言われています。自身が可能と考える設定値よりも高い目標値を設定することで、格段の進歩を遂げることを目指しているためです。
(※参考記事:OKRを設定する)
OKRのメリットとして、以下が挙げられます。
OKRにおいて、最終的に達成したいことは「企業の目標」です。その企業目標と従業員の目標が深く結びついているため、常に企業目標に向かい従業員を動かすことができます。
OKRは人事評価制度とは無関係であるため、各チーム・従業員の目標の達成度合いに透明度を持たせて共有することができます。そうすることで企業の目標達成に向けた課題感を発見することができます。
ストレッチゴールと呼ばれる、高めの目標を設定することにより、従業員がより高いレベルを目指すことができます。
(※参考記事:What Are The Pros And Cons Of Using OKR?)
OKRのデメリットは以下が考えられます。
OKRは全社的に連動しているため、チーム・従業員の目標が具体的に落とし込まれていることが望ましいです。しかしながら、全ての部署・従業員が定量的な目標値を設定できるわけではありません。
設定した目標が高すぎる場合、モチベーションが下がることが明らかになっています。
(※参考記事:Heroes of Employee Engagement: No.4 Edwin A. Locke)
100%ではなく、目標の60〜70%の成果が求めらていることを、従業員にしっかりと説明しなくてはいけません。
KPIはKey Performance Indicatorの頭文字を取った略称であり、重要業績評価指標と紹介されています。KPIを設定することにより、プロジェクトや戦略がどの程度目的達成に向かい進んでいるのかを確認することができます。
(※参考記事:What Is A KPI?)
KPIと共に紹介される概念として、KGIがあります。
KGIはKey Goal Indicatorの頭文字をとった略称であり、重要目標達成指標と紹介されることが多いです。プロジェクトや戦略の「最終目標」を示す際に用いられます。
まとめると、KGIは最終目標であり、KPIはそのKGI(最終目標)を達成するための、中間地点として位置づけることができると言えるでしょう。
KPIを設定する際には、KGIの達成に必要な要素を分解し「期日」「回数」「質」などの具体的な項目を含ませます。
例えば、営業を例にすると、以下のようなKGI・KPIを考えることができます。
KGI:11月セールスチーム受注金額5,000万達成
KPI①:1日のコール回数100回
KPI②:1週間での資料請求数30回
KPI③:1週間での商談回数100回
プロジェクトや部署によっても異なりますが、週ごと、もしくは月ごとに進捗度の確認をすることが一般的です。何故ならば、KPIはプロジェクトや戦略の際に用いられる指標であり、変化するスピードが早いためです。
オープンに公開することが自然です。何故ならば、KPIは人事評価とは全く結びつきがないためです。
100%の達成率が求められます。KPIはKGIから逆算して設定されるため、100%以上の達成度が必要です。
プロジェクトや部署の目標達成に向けた進捗状況を確認することができる
プロジェクトや部署が抱えている課題感を見つけることができる
(※参考記事:The 5 notable benefits of KPI reporting)
KPIは短期的な成果をはかる指標です。それ故、短期間で成果を達成することだけを目指した結果、業務の質が下がる可能性があります。
短期的に業務の成果を求めることは、暗黙的なルーティンワークにつながり、新しい手法や発見を逃す可能性が高まります。
(※参考記事:What Is KPI? What Are Its Advantages And Disadvantages?)
目標を設定する際のメソッドを理解しておくことで、チーム・従業員が目標達成に向かい着実に進むことができます。
以下の3つのメソッドを紹介していきます。
・ベーシック法
・SMARTゴール
・HARDゴール
ベーシック法は、もっとも基礎的な目標設定のメソッドとされており、以下の4つの切り口から目標を設定していきます。
・目標項目
・達成基準
・期限設定
・達成計画
(※参考記事:【目的別】目標設定の8つの極意と実践までの流れ)
まず最初に取り組むのは、「何を達成するのか」(目標項目)を定めることです。目標項目の種類は以下の4つに分類することができます。
強化:現状からの更なる飛躍をめざす目標項目
(例)来期の受注金額を前期比よりも高める
改善・解消:抱えている課題感を解決することを目指す目標項目
(例)内定の辞退率を低くする
維持・継続:現状の維持を目指す目標項目
(例)新規顧客を今期も引き続き獲得する
創開発:新しいことを始める際の目標項目
(例)専門のインサイドセールスチームを社内に作る
目標項目を設定した後に、達成基準を定める必要があります。達成基準では、出来るだけ定量化した基準を設けることが良しとされています。何故ならば、「目標を達成できたのか」「できてないのか」を明確にすることができなければ、次の打ち手を打つことができないためです。
(※参考記事:The Power of Setting Clear Goal)
先ほど設定した目標項目は、以下のように数値化することができます。
・来期の受注金額を前期比よりも高める→今期は受注金額、前期比150%
・内定の辞退率を低くする→内定の辞退率を、30%以下まで下げる
・新規顧客を今期も引き続き獲得する→新規顧客を引き続き50社以上今期も獲得する
・新しくインサイドセールスチームを作成する→◯月中にインサイドセールスチーム発足
期日や比較を用いることで、数値を用いた目標の設定をすることができます。
達成基準を明確にした後には、「いつまでに達成するのか」を目標の中に含めます。「達成基準の設定」の段階にて、すでに期限を設定している場合には、このステップはスキップして大丈夫です。
達成計画とは、定めた目標をさらに具体化し、どのように実行に移すかを明確にしたアクションプランと言えます。
(※参考記事:目標設定はなぜ必要?目標設定メソッドも大公開!!)
具体的には以下のような例を考えることができます。
「◯月中にインサイドセールスチーム発足」
そのために行うべきアクション
・採用担当とコミュニケーションをとり、インサイドセールスの中途を△月までに採用
・営業先のリストを最低100件を◯月までに準備
といったように作成することができます。
ポイントとしては、達成計画にもできる限り「数値」を含め、具体性を持たせる点です。
SMARTゴールはもともと、ドラッカーが発案したMBO(Management by Objectives)から派生して誕生した目標設定の手法になります。
具体的には、以下の頭文字をとった目標設定のメソッドとなっています。
S:Specific(simple, sensible, significant)
M:Measurable(meaningful, motivating)
A:Achievable(agreed, attainable)
R:Relevant(reasonable, realistic and resourced, results-based)
T:Time bound(time-based, time limited, time/cost limited, timely, time-sensitive)
(※参考記事:SMART Goals How to Make Your Goals Achievable)
目標は、具体的(Specific)に設定する必要があります。具体性のある目標を設定することにより、時間をかけて集中すべき業務を明確にすることができます。
(※参考記事:The Essential Guide to Writing S.M.A.R.T. Goals)
以下の問いを自身に投げかけることで、具体性のある目標を設定することができます。
・「何を」達成したいのか
・「なぜ」それを達成しなくてはいけないのか
・「だれ」が目標を達成するために必要なのか
・「どのような知識・情報」が必要なのか
例えば「昇進」を例として考えると、以下のように考えることができます。
・「何を」達成したいのか→昇進
・「なぜ」それを達成しなくてはいけないのか→自身でチームを率いたいため
・「だれ」が目標を達成するために必要なのか→上司からのアドバイス
・「どのような知識・情報」が必要なのか→マーケティングの知識
目標は、進捗の確認(Measurable)ができなくてはいけません。目標の達成の進捗度合いを追うことにより、課題感や必要となる対処策を考えることができます。
以下の問いを自身に投げかけることで、進捗度合いを測ることのできる目標を設定することができます。
・どのような「数値」に届く必要がありますか?
・どのような「状況」が目標の達成と言えるのか?
・進捗度合いを確かめるための「基準」は何ですか?
(※参考記事:What is a SMART Goal?)
同様に、「昇進」を用いて例を考えた際、以下のような例を考えることができるでしょう。
1年以内に、マーケティングに関する本を30冊読破し、2年以内に部長としてマネジメントの経験を積む。
設定する目標は、実現可能(Achievable)である必要があります。簡単に達成できる目標では意味を成しませんが、達成することが不可能な目標設定でも意味を成しません。
以下のような例は、実現可能性が比較的低いと言えます。
・新卒の社員が1年で役員まで昇進することを目指す
逆に、下記のような目標は実現可能性が比較的高いと言えるでしょう。
・新卒の社員が、3年以内に昇進。5年以内に自身のチームを率いる。
目標が実現可能かどうかを確かめるためには、過去を振り返ることから始めます。自身の力を発揮できる限度がどの程度かを理解することから始めましょう。
過去に達成してきた目標のレベルを、少し高めに設定することで実現可能性のある目標を定めることができるでしょう。
(※参考記事:5 Steps to Setting Smarter, Achievable Goals)
設定する目標は、達成する必要性が高いもの(Relevant)ではなくてはいけません。あまり重要ではない目標を数多く設定することは、より重要な目標の達成を妨げる要因となります。
以下の質問に対して、「yes」と言える目標を設定する必要があるとされています。
・その目標の達成は自身にとって、価値があるものですか?
・その目標の達成に向けて動き出す時期は、今が適切ですか?
・その目標は、他の定めた目標と重なりあう部分がありますか?
・その目標は、「私」が達成する必要がありますか?他の誰かではダメですか?
例えば、家族を持ったばかりの状況にて、仕事の時間外に昇進のために勉強をすることは、難しいと言えます。このような場合には、他の方法で目標を達成するか、別の時期に目標達成に向けて動きだす方が得策だと言えます。
目標を設定する際には、達成するまでの期日(Time bound)を設ける必要があります。時間的な制約を自ら設けることにより、目標達成に向けて逆算して考えることができると同時に、集中して取り組むことができます。
「昇進」を同様に例で考えてみると、以下のような切り口から締め切りを設定することができます。
・昇進はいつまでにしている必要がありますか?
・昇進に必要な資格はいつまでに取得している必要がありますか?
・勉強のための本は、いつまでに1冊読み終わってなくてはいけないですか?
上記のように、最終的に目標を達成しなくてはいけない期日を設けた後に、より詳細なスケジュールを作成することで効果的に目標達成に向けて動くことができます。
HARDゴールとは、Mark Murphyが提唱した新しい目標設定の方法であり、近年注目を集めています。
(※参考記事:HARD Goals, Not SMART Goals, Are The Key To Career Development)
特徴としては、HARDゴールはSMARTゴールよりも深く感情に根付いており、キャリアに関しての目標を設定する際に適している点です。
HARDは以下の文字の頭文字をとったものです。
H:Heartfelt
A:Animated
R:Required
D:Difficult
(※参考記事:Video: Goal Setting Requires HARD Goals)
Heartfeltとは、「心の底からの」という意味です。目標を設定する際には、心の底からその目標を達成したいと思う必要があります。
HARDゴールを提唱したMark Murphyによると、「なぜその目標を達成したいのか」少なくとも3つの理由を持っている必要があるとしています。
また同時に、その目標を達成したいと思う理由に対して特に制約はありません。個人的な目標でも、企業のための目標でも良く、本能的に達成したいと思う目標でも良いとされています。
Animatedとは、「活気がある」という意味です。目標を達成した後に、どのようなキャリアが待ち受けているのかを鮮明にイメージできている必要があります。
そうすることにより、自分の目指しているキャリアを見失うことなく目標達成に向けて動き続けることができます。
具体的には、以下のような切り口で目標達成後のキャリアをイメージすると良いでしょう。
・どのような種類の仕事をしているのか
・誰と一緒に働いているのか
・どこで働いているのか
・どのようなスケジュールで1日を終えているのか
Requiredとは、「必要とされている」という意味です。目標を達成するために、必要とされているスキルや能力を明確にする必要があります。
目標達成に必要なスキルを、スケジュールと合わせて明確にすることで、計画性を持って目標達成に向かうことができます。
例えば、
〇〇年までに昇進する→そのために、△月までに資格を取得する。
といったように期日を含めて必要なスキルをリストアップしましょう。
Difficultは、「困難」という意味です。目標を達成するにあたり、どのような困難が予想され、どのように対処するのかをあらかじめ考えておくと良いとされています。
HARDゴールを提唱したMark Murphyによると、予想される困難と、乗り越えるための(今後身につけなくてはいけない)術をあらかじめ、それぞれ3つずつ考えておく必要があるとしています。
目標達成に必要なスキルだけではなく、経験するであろう困難をあらかじめ考慮に入れることで、そのような困難にめげずに最後まで目標達成に向かい進み続けることができるでしょう。
OKRはもともと、Intel Corporationが始めた目標管理のフレームワークになります。その後、すぐにそれを導入したのがGoogleでした。
OKRがGoogleでどのように機能しているのかを、具体的に説明していきます。
GoogleではOKRを3ヶ月ごとと、1年ごとの2種類のスパンで設定しています。
基本的に、3ヶ月ごとのスパンでは、4つから6つのOKRをそれぞれの従業員が設定するようにGoogleでは定めています。3つ以下の目標では少なすぎるため成長が見込まれない一方で、7つ以上の目標では多すぎるため達成が困難であるとされているためです。
GoogleではOKRを、以下のレベルに階層的にわけています。
・全社レベルのOKR
・チームレベルのOKR
・マネージャー層のOKR
・各従業員のOKR
全社レベルから各従業員まで階層的にOKR設定することにより、企業の目標と従業員の目標をしっかりと結びつけることができます。
Googleでは、目標の達成率を0.0〜1.0のスケールで表しています。
目指す目標の達成率は0.6〜0.7であり、1.0以上の目標を達成した場合には、設定した目標が簡単すぎるとされています。
また、0.4以下の目標達成度では、何が悪かったのかを深く考える必要性があることをGoogleは強調しています。
Googleでは、全ての従業員がOKRを社内で公開しています。そもそもOKRは人事評価制度ではないことに加え、サポートが必要な従業員の特定や、問題を抱えたチームをいち早く特定することができるためです。
また、過去のデータを全て蓄積しているため、チーム・従業員がどれだけ成長しているのかを可視化することができる点でもメリットがあると言えます。
(※参考記事:This Is The Internal Grading System Google Uses For Its Employees — And You Should Use It Too)
今回の記事では、目標の設定・管理のフレームワークたメソッドを紹介しました。
マネジメントツール「Wistant(ウィスタント)」では、OKRをはじめとして、目標を一元的に管理することが機能が揃っています。
興味がある方は、こちらの記事(メンバーが自律的に動き出す!「Wistant」を使った目標管理の方法)もぜひご覧ください。