会社に従業員が定着せず、入社まもない期間で退職してしまう…という課題に頭を悩ませている経営者・人事の方は多いのではないのでしょうか。
実は、多くの離職で「上司と部下の人間関係」が原因になっていることをご存知ですか?
Ranstad社が2018年に行った調査結果によると、60%以上の従業員が、上司との良好な関係性が築けていないために、すでに離職済みおよび、離職を検討していることが判明しています。
(※参考記事)your best employees are leaving. but is it personal or practical?
それでは、上司と部下に求められている関係性とは、どのようなものなのでしょうか。また、企業として取り組めることは何かないのでしょうか?
今回は、上司と部下の関係性を改善し、離職を未然に防ぐための具体的な施策をご紹介します。
1. 上司と部下に求められる関係性
2. 関係性構築のために企業がすべきこと
3. 具体的な施策事例【3選】
4. まとめ
結論から言うと、人それぞれ上司・部下に期待していることは異なります。
上司の精神的な後押しを求める部下もいれば、論理的な説明を上司に求める部下もいます。また、部下の自主的な動きを求める上司もいれば、定められた仕事範囲を全うして欲しい上司もいます。
実際、London School of Economics and Political Science Business Reviewにおいても、業務の成果を最大化するためには、上司は部下に合わせた関係性を築く必要があると述べられています。
このように、両者の関係性は千差万別であるからこそ、両者の期待の溝がなかなか埋まらず、じわじわと関係性が悪化していく…ということが起こりがちです。そして最悪の結果、離職となってしまいます。
それでは両者の溝を埋めるためにはどのようにすれば良いのでしょうか?
上司と部下の良い関係性を築くために根本的な解決策は1つです。それは、質の高いコミュニケーションを取ることに尽きます。
コミュニケーションによって両者の溝を認識した後に、具体的な行動へ移していきます。
簡単なことを言っているようですが、実は非常に難しいです。
日々の業務に終われ、部下と密なコミュニケーションを取ることができない上司、忙しそうな上司になかなか相談することが出来ない部下…
上記のような事態は、どこの会社でも起きていることかと思います。
このような場合、1人ひとりの努力で改善することは非常に難しく、企業が主導して解決に導く必要があります。
具体的には、日々の業務の中にコミュニケーションを取る場を意図的に作ることが企業に求められます。
それでは、具体的にどのような施策を企業は打つべきなのでしょうか?
実際の施策を3つご紹介します。
チームで食事を共にすることは非常に有効です。
例えばランチ休憩は、日々の業務から離れ、上司・部下でコミュニケーションを取ることができる貴重な機会です。
ハーバードビジネスレビューによると、チームで共に食事を取ることはチームとしての絆が深まることに繋がり、成果に結びつくことが明らかになっています。
(※参考記事)Harvard Business Review Team Building in the Cafeteria
実際、ランチを共にとるチームの方が、取らないチームに比べ、10%以上仕事に対して幸福を感じていると回答しています。
(※参考記事)The Benefits of Providing Free Food at Work
Googleなどの大企業では、無料のランチを支給することでチームでランチを取ることを促しています。
しかしながら、多くの企業では無料ランチ制度の導入は費用面から非常に厳しいですよね。しかし、チームごとにランチを取ることを企業側が促すことはできます。
例えば、弊社には従業員同士の食事を会社が補助する「ゴチ制度」というものがあります。月1万円を上限に、食事代を会社が負担する制度です。(ゴチ制度に関する詳細はこちら)
もしくは、会社主催で、定期的なランチ会を行っても良いかもしれないですね。
企業で従業員の相互理解を深めることを目的としたイベントを開催することも有効です。
例えば弊社では、毎年サマーキャンプを行ってきました。サマーキャンプを通し、お互いをよく知ることができると評判です。
また、「Life is Beautiful」という従業員のこれまでの人生を社内で共有する時間を、月に1度設けています。
スキルや能力だけではなく、人柄や取り巻く環境を理解することも非常に重要ですね。
1on1ミーティングは、上司と部下のより良い関係性を築く上で、今最も注目されています。
その目的は、部下と上司の対話を通じて、個人のパフォーマンス向上をサポートすることです。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)
言い換えるならば、
・上司・部下のお互いの期待の溝を埋めるために歩み寄り、より良い関係性を築くこと
・部下に自分の仕事について振り返って内省してもらうことで、個人のパフォーマンスや成長を引き出すこと
を目的としています。
実際に1on1を実施している企業の多くは、2週間ないし1ヶ月に1回、30分ほどの時間を取り、マネージャーとメンバーで1on1を行っています。
1on1ミーティングは1対1の質の高いコミュニケーションとることができるため、関係性の改善には大きな効果が期待できます。
その一方で、導入へのハードルが高いことも一つの事実です
制度の設計などを行わず、「いきなり」1on1ミーティングを導入した企業の多くが以下のような悩みを抱えています。
・30分間で、何を話せば良いのかわからない
・日々の業務に追われ、結局は制度が形骸化
・相性の良くない人と毎回話すのが苦痛
・人事が1on1で話されている内容を知ることができず、今後に活かせない
上記のようなハードルを乗り越え、有意義な1on1を行うためには、ツールの導入も一つの選択肢です。
マネジメントツール「Wistant(ウィスタント)」では、
・1on1の前に、話したいことをまとめたアジェンダの作成
・1on1の前に、部下に「ふりかえり」と「内省」を促すアンケートの実施
・相性の良いペア同士で1on1を実施できるような組替え
・1on1の時間を有効活用できているか、アンケートの実施
を一気通貫で行うことができます。
また、1on1だけではなく、個人の目標やフィードバック(評価)も一元管理することが可能です。(Wistantの詳細はこちら)
多くの企業では、人材不足が課題になっています。そして、離職の多くの原因が人間関係であり、上司と部下の関係性を見直すことが企業に求められています。
企業が主体的に従業員と向き合うことにより、上司と部下の関係性を改善することができます。すると、離職に関する問題だけではなく、企業全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。