【Q&A・11選】「OKR」の導入・管理のコツは?【THE TRANSITION「OKR」#01】
目標設定・管理 THE TRANSITION
2020. 07. 13

【Q&A・11選】「OKR」の導入・管理のコツは?【THE TRANSITION「OKR」#01】

組織変革の「時」に迫る、ドキュメンタリー形式のイベント「THE TRANSITION」

6月30日に開催した第2回では、キャディ社の幸松様ラクスル社の城倉様をゲストにお迎えして、「OKR」をテーマにお話いただきました。

講演中には、多くの方からチャット欄にてご質問を頂戴しましたが、時間内に全てお答えすることができなかったため、こちらのブログにて回答させていただきます!

※質問文は、一部を読みやすく編集させていただいております。


【目次】

  1. 少しだけおさらい!「OKR」の基本
  2. OKRはどう運用するの?
  3. OKRの進捗管理はどうやってするの?
  4. OKRに対する振り返りはどうする?

1. 少しだけおさらい!「OKR」の基本

「OKR」とは「Objectives and Key Results」の略語で、直訳すると「目標と、その鍵となる成果指標の集まり」となります。

OKRの設定方法は、まず目標(Objectives)を決め、達成のために必要な要素を3〜4の成果指標(Key Results)に分解し、進捗をトラッキングします。OKRの最大の特徴は下図のように、「会社と個人の目標がリンクする」という点です。

「会社と個人の目標がリンクしている」ことで、次の4つのメリットがあるとされています。

 

  1. 企業のビジョンに沿った目標を、常に従業員に示すことができる
  2. 従業員が「何を期待されているか」がわかりやすく、納得度が上がりやすい
  3. 目標に対する進捗を定期的に振り返るため、進捗管理の役割も果たす
  4. 常に重要なゴールを意識でき、インパクトの小さい目標に惑わされない

 

また、OKRと比較されることが多いのが、1970年代から主流だった「MBO(Management By Objectives)」です。

上記図のように、MBOとOKRでは様々な違いがありますが、最も特徴的なのは「達成度と評価が直結しない」ことです。

▼OKRとMBOの違いなどに関してはこちらの記事で詳しく説明しておりますので、「OKRについてもう一度おさらいしたい!」という方は是非ご覧ください。

【保存版】Googleも採用する目標管理「OKR」を徹底解説!導入事例や運用ツールも紹介

 

2. OKRはどう運用するの?

Q:OKR導入の具体的な事例が知りたいです。

OKRの導入事例については、SELECKに掲載している下記の記事を参考にしていただければと思います。

▼ココナラ社で実際に設定される、個人のOKRイメージ(広報・PRの場合)
(※画像はSELECK編集部が作成)

(参考記事:優秀な人が失敗するのは、目標が曖昧だから。敢えてトップダウンでOKRを運用する理由)

 

▼アジケ社のOKRツリーのイメージ(※画像はSELECK編集部にて作成)

(参考記事:UXデザインカンパニーがOKRを導入。個々のスキルと一体感を高める、目標管理の運用法)

▼今回ご登壇いただいた幸松さんに、過去取材させていただいた時の記事も是非ご覧ください

高いゴールには「線形」の目標設定では到達できない? ゼロから始める、OKR運用の全貌

 

Q:OKRの最大の特徴は定性目標(O)をカスケード(=全社目標から目標を落とすこと)させる、という点だと思っていますが、いかがでしょうか?

OKRは「アライメント」が特徴なので、カスケードする必要があります。

OKRの設定においては、いくつか注意点があります。Oは必ずしも定量的である必要はなく、定性的な目標でも構いません。しかし、KRは定量的な目標にするのが望ましいとされています。

よって、OとKRの整合性をとるという意味ではカスケードさせることが必要ですが、Oの定性的な目標をそのままKRに反映させてKRが定性的な目標にならないように注意する必要があります。

 

Q:OKRを達成するのは悪いことなのでしょうか?

「悪いこと」ではありませんが、普通に業務を行って達成できた目標=チャレンジングではなかった、とも言えるので目線が低いかもしれません。

そこで、OKRを達成した場合はまず振り返りを行い、なぜ達成できたのか? 目標は低すぎなかったか? を確認することが重要です。

また、OKRには「コミットするOKR」と「野心的なOKR」の2つがあるとされています。この両者を明確に区別することが重要で、「コミットするOKR」は、組織として必ず達成できるようにスケジュールをたて、リソースを調整する必要があります。

Q:逆に未達だった場合は、パフォーマンスが悪かったのか? 目標が高すぎたのか? などの切り分けはどうしたらいいですか?

正直なところ、時と場合によります。重要なのは設定した目標に対して、しっかり振り返りを行うことです。なぜ達成できなかったのか、外部要因と内部要因を振り返ることが重要です。

 

Q:運用においてOKRとKPIがトレードオフになることはありますでしょうか?

会社が「全社戦略を重視するのか」「KPIを重視するのか」の、どちらかに優先順位を高く置いているかで変わってくると思います。つまり、会社が「全社戦略への貢献」を優先する方針であれば、OKRを優先するべきだということです。

KPIは戦略を実行するための指標ではなく、進行度合いや達成度を測るための指標なので、OKRとは目的が異なります。

OKRは基本的に全社に向けて設定されるもので、KPIはプロジェクトなど小さな単位で設定されることが多い指標です。

▼KPIについてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください

KPIとは?KGIとどう違う?ビジネスにおける目標管理の基礎用語を解説

 

Q:「必達目標」と「ムーンショット」がある場合、社員にとっての優先順位づけはどうなりますか?

「必達目標」は組織を運営するための目標で、「ムーンショット」は戦略を達成するための目標です。よって、優先順位付けではなく、全く別物の目標だと考えていただけると良いと思います。

「ムーンショット」について少し補足をしておくと、「ムーンショット」とは、1961年にジョン・F・ケネディ大統領が発表した「10年以内に月面に人類を着陸させ、帰還させる」という「アポロ計画」から誕生した言葉だとされています。

その最大の特徴は、非連続的な成長を促すことができる点です。例えば、「これまでと同じ水準を目指す」という考え方では、活動内容がどうしても以前と同じになってしまう傾向があります。

そこで、求められる達成率が60〜70%のムーンショットを設定することで、既存の枠から飛び抜けた方法を発案できる可能性が高まります。

3. OKRの進捗管理はどうやってするの?

Q:OKR/KPIを設定する際、進捗チェックにはどんな方法がありますか? その際に意識していることは?

継続的にOKRのパフォーマンスをチェックするためには、1on1が有効です。「取り組みとOKRの方向性は一致しているか」「目標達成を阻害する要因はあるか」「変更、追加、削除が必要なOKRはあるか」を定期的にチェックすることで、メンバーはよりパフォーマンスを発揮しやすくなります。

1on1を実施する場合は、メンターはメンティの内省を促す姿勢が重要です。1on1のコツについて詳しく知りたいという方は、こちらの「1on1パーフェクトガイドブック」も是非ご覧ください。

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Q:OKR進捗を管理するツールはありますか?

人数が少ない組織であれば、スプレッドシートなどでOKRを管理している場合もあります。50名規模の弊社では「Wistant」を利用してOKRを運用しています。

個人の管理画面から会社のOKR、部署ごとのOKR、そして進捗度合いを確認することができます。また、1人ひとりが自分のもOKRをWistantで管理できるので、1on1の前に進捗管理を行い、自分のアクションの振り返りに活用するなどしています。

▼実際のWistantの画面(「会社・部署」のOKR確認画面)

 

▼個人の管理画面

4. OKRに対する振り返りはどうする?

Q:OKRを導入したことで、鬱になってしまう人はいませんか?

OKRが直接の原因となって鬱になった…という話は聞いたことはありませんが、OKRに対する納得感が低かったり、目標が野心的すぎてどう行動していいかわからなかったりすると、モチベーションが下がってしまう可能性は少なからずあります。

OKRは設定する際に時間を確保してしっかり議論しあうことも重要ですが、それ以上に定期的に「対話」を行い、パフォーマンスに対する振り返りを行うことが大切だとされています。

この「対話」で、マネージャーは5つのポイントを意識すると良いとされています。

1. OKRに対する振り返り
(例)「自分の職務、チーム、会社に貢献するためにはどのOKRにフォーカスするべきだと思いますか?」

2. 進捗報告
(例)「目標達成の阻害になっているものはありますか?」

3. コーチング
(例)「現在の任務で変えたいところはありますか?」

4. フィードバック
(例)「あなたが目標達成できるように、私にできることはありますか?」

5. キャリア形成
(例)「キャリア目標を達成するために、どの分野やスキルを伸ばしていきたいですか?」

また、こうした質問に答えてもらうためにも部下には事前に「内省」を促しておくことも重要です。

(参考文献:ジョン・ドーア. Measure What Matters(メジャー・ホワット・マターズ) 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR (日本経済新聞出版),2018 ,p.371 - 375)

 

Q:「ウィンセッション」はどのように行われていますか?

今回ご登壇いただいた幸松さんのキャディ社では、3ヶ月に一回「キャディクォータリー全社Win Party」を開催しているそうです。
関西にも拠点を設けているキャディ社ですが、全メンバーが一同に集まって開催するとのことで、メンバーの懇親を深める場所にもなっているそう。表彰式も開催しているとのことです。

▼キャディ社のウィンセッションについてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください

「一丸」で10ヶ年計画達成へ!2020年初の全社ネクスト四半期ミーティングを開催しました(note)

 

Q:達成度=評価にはならないとのことですが、どのように評価をしているのでしょうか?

OKRはそもそも業務プロセスの「目的地」を示すものなので、従業員を評価したり、報酬を決めるための指標とはまた別のものになります。

OKRは達成度60〜70%を前提に設定されます。よって、OKRを基準に評価をするとなると、従業員は達成する方法を具体的に見出せずに、通常業務をこなすだけの状態に陥る可能性があります。

よってOKRとは別の評価基準が必要になりますが、この基準も会社によって異なるのが実情です。例として「360度フィードバック」や、「バリュー評価」、「コンピテンシー 評価」など様々な評価方法があります。自社のカルチャーに併せて複数の評価制度を組み合わせている企業もあります。

ただし、OKRを導入している企業全てがOKRと評価を結び付けていないわけではありません。OKRの目的を果たしながら導入を推進するためにも、企業のカルチャーに合わせて形を変えていく必要があります。

▼それぞれの評価制度について詳しく知りたい方は、是非こちらの記事もご覧ください

【6社のリアル事例】人事評価制度の実態とは? 2019年最新のトレンドも併せて解説

▼360度フィードバックについてはこちらの記事も併せておすすめです

360度評価(多面評価)とは? 現場のリアル事例とテンプレート、運用ツールまで【計7選】

終わりに

いかがでしたでしょうか。

この度、弊社主催のイベントにご参加いただいた皆さま、改めてありがとうございました。

弊社では、マネジメントに関する無料の個別相談会も実施しております。ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお申し込みくださいませ。

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